研究課題/領域番号 |
14540592
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
加藤 潔 名古屋大学, 情報文化学部, 教授 (00109258)
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研究分担者 |
高橋 宏二 名古屋大学, 情報文化学部, 助手 (40283379)
木藤 伸夫 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (80161511)
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キーワード | 伸長生長 / 細胞壁 / 臨界降伏張力 / イールディン / キチナーゼ / 部位特異変異 |
研究概要 |
ササゲ下胚軸の伸長生長域細胞壁より精製されたイールディン(YLD)は、pHに依存して細胞壁の臨界降伏張力(y)を制御するタンパク質である。YLDの活性発現機構を明らかにするため、大腸菌における組換えYLD(rYLD)の高発現系の構築とYLDの分子手術を行った。大腸菌で発現させたrYLDは、内生YLDを熱失活させたグリセリン処理ササゲ中空胚軸のy調節能を回復させた。次に部位特異的変異の導入を行い活性発現に重要な部位を決定した。YLDタンパク質の1次構造はクラスIIIキチナーゼと相同性を示し、活性部位のアミノ酸配列も保存されている。計算機支援による構造予測からもYLDはキチナーゼと同様の3次元構造であることが推定された。しかし、この推定構造をキチナーゼのひとつであるヘバミンの構造にスーパーインポーズすると、キチナーゼ活性部位である124Dから134Wの構造が異なることがわかった。そこで、この部位を中心に、3次元構造が保存されている部位も含めた領域でアミノ酸置換を行い、それらrYLDのy調節活性を測定した。キチナーゼ活性部位に相当する124Dと128Eを置換するとYLD活性がなくなることがわかった。しかし、その近傍で保存されている領域中の119Mの変異YLDは正常なy調節能を示した。これらの結果から、キチナーゼ活性部位に相当する領域がy調節に重要と考えられた。また、抗YLD抗体に反応するYLD類似タンパク質をササゲ子葉から抽出したところy調節能を示した。このYLDホモログタンパク質は構造解析からクラスIIキチナーゼであることがわかった。以上の結果は、y調節能を有するタンパク質にはキチナーゼとの構造類似性が重要であることを示唆している。
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