研究課題/領域番号 |
14540592
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
植物生理
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
加藤 潔 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (00109258)
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研究分担者 |
高橋 宏二 名古屋大学, 理学研究科, 助手 (40283379)
木藤 伸夫 名古屋大学, 理学研究科, 助教授 (80161511)
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研究期間 (年度) |
2002 – 2003
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キーワード | 伸長成長 / 細胞壁 / 酸成長 / 臨界降伏張力 / イールディン / キチナーゼ / 部位特異的変異 / モノクローン抗体 |
研究概要 |
ササゲ下胚軸の伸長域細胞壁でpHに依存してその壁臨界降伏張力yを制御するタンパク質、イールディンの生理活性発現機構を明らかにする目的で、pUT7をもちいて大腸菌による組換えイールディン(rYLD)高発現系を構築した。プロモーターによる誘導無しに、大腸菌培養液1リットル当たり100mg以上のrYLDを得ることが可能となった。産生されたrYLDタンパク質は、8M尿素で可溶化してから尿素濃度を徐々に下げることで可溶化できた。このようにして得たrYLDはササゲ細胞壁標品に対してy調節活性を示すことがわかった。イールディンはクラスIII酸性キチナーゼと相同性を示すが、キチナーゼ活性は示さない。にもかかわらず、活性部位のアミノ酸配列は保存されている。そこで、イールディンの80番目のセリン、124番目のアスパラギン酸および128番目のグルタミン酸を、それぞれアラニン、アスパラギンおよびグルタミンに変換する部位特異的変異を導入し、それぞれについて変異導入イールディンを作成してその活性を測定した。これら変異組換イールディンはいずれもpH依存のy調節活性(イールディン活性)を失っていた。イールディンのアミノ酸配列をもとに行ったコンピュータによる3次元構造予測では、イールディンはコンカナバリンBやヘバミンなどグリコシド加水分解酵素の第18番ファミリーに属す酵素と同じ(b/a)_8バレル構造を持つものと推定でき、アミノ酸保存部位はバレルの中心部に位置することが分かった。しかし、y調節能を持つ部位特異的変異体の生成が難しく、キチナーゼ活性部位とイールディン活性の発現との関係を特定するまでに至らなかった。 このことを受け、イールディンのモノクローン抗体の生成を試みた。80を越えるイールディン抗体産生ハイブリドーマのクローンのうちからイールディンの機能阻害をするモノクローナル抗体を生産するクローンの選別に成功した。この抗体と他のモノクローン化した抗体を用いてササゲ以外の細胞壁蛋白質をウエスターン解析により調べたところ、イールディンはVigna属にしか発現していないことが分かった。イールディン機能を阻害するモノクローン抗体の抗原決定基は現在検索中である
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