研究概要 |
今年度は、1)R. capsulatusのRnf複合体の結晶化と機能解析とともに、2.)ミヤコグサ根粒菌Mesorhizobium lotiのフェレドキシン還元酵素系の同定を、主目的とした。1)の結晶化は難航中で精製のためタグの改良を行っでいる。2)については、M. loti全ゲノム断片から効率よく還元酵素を同定するためのリソースとして、全ゲノムをカバーするコスミドライブラリの構築とともに根粒菌ゲノムの改変法の改良を行った(Hattori et al.,2002;Sriprang et al.,2002)。さらに、共生窒素固定に必須で[4Fe-4S]フェレドキシン様タンパク質をコードすることが期待されるfixX遺伝子の大腸菌内での発現実験を行った。具体的には、fixX遺伝子を整列コスミドから、発現ベクターpET-21aにサブクローニングし、得られたプラスミドを大腸菌C41(DE3)で発現させた。しかしながらFixX産物は封入体を形成し、この状況は低温、誘導条件の緩和また各種のシャペロンプラスミドや大腸菌の鉄硫黄クラスター合成系であるisc, suf遺伝子クラスターとの共発現によっても改善できなかった。そこでFixXポリペプチドを封入体から精製した後、変性剤とDTTと三価の鉄イオン、無機硫黄を加えることにより再構成を試みた。変性剤として尿素を用いた場合は鉄硫黄クラスターを再構成できなかったが、グアニジン塩酸を用いた場合には近紫外領域の吸光を示した。再構成条件の検討と分光学的解析が今後の課題である。
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