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2004 年度 実績報告書

サケ科魚類の性成熟開始の分子機構:GnRH受容体遺伝子の発現調節機構

研究課題

研究課題/領域番号 14540608
研究機関九州大学

研究代表者

安東 宏徳  九州大学, 大学院・農学研究院, 助教授 (60221743)

研究分担者 浦野 明央  北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 教授 (00142232)
キーワード生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン / GnRH受容体 / 性成熟 / 視床下部 / 下垂体 / 遺伝子発現 / サケ科魚類 / 生殖行動
研究概要

本研究では,成長から性成熟への生理機能の転換機構を明らかにするため,サケ科魚類を材料としてGnRH受容体遺伝子の発現調節という点から解析した。サクラマスから5種類のGnRH受容体サブタイプ遺伝子(R1-R5)をクローニングし,それらが共に脳と下垂体で発現していることを明らかにした。5種類のGnRH受容体遺伝子の機能を明らかにするため,まず,それぞれのmRNAを特異的かつ高感度に測定する系をリアルタイムPCR法により確立した。サクラマスの性成熟過程における発現レベルの変化を解析した結果,脳では5種類のサブタイプ遺伝子の発現は同様なパターンを示し,性成熟が開始される1歳魚の冬に高く,産卵期に向かって減少していった。また,GnRH受容体mRNA量と血中エストラジオール濃度との間に負の相関が見られた。一方,下垂体では,サブタイプごとに発現パターンが異なり,中でも発現量が一番高いR4は産卵期前に発現量が増加した。この時期にはGnRHによってGTH遺伝子の発現が調節されるが,R4がこの調節に関わることが示唆された。さらに,下垂体初代培養系を用いてGrRH受容体遺伝子の発現に及ぼすGnRHと性ステロイドホルモンの影響を解析した結果,GnRH,エストラジオール,テストステロンは,性成熟過程の特定の時期にGnRH受容体遺伝子の発現を直接的に調節することが明らかになった。これらの結果から,脳と下垂体のGnRHに対する反応性は性成熟過程で時期特異的に変化すること,また,そのしくみとしてGnRH受容体が遺伝子発現レベルで調節されることが明らかになった。特に,その調節に性ステロイドホルモンが重要であることが示された。脳と下垂体におけるGnRH受容体発現細胞の同定が今後の重要な課題であるが,分子組織化学的な方法と共に,単一細胞レベルでの発現を定量的に解析することを試みたいと考えている。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (6件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Elevation of Gene Expression for Salmon Gonadotropin-Releasing Hormone in Discrete Brain Loci of Pre-Spawning Chum Salmon during Upstream Migration.2005

    • 著者名/発表者名
      Onuma T.et al.(他4名)
    • 雑誌名

      Journal of Neurobiology (印刷中)

  • [雑誌論文] Distinct effects of 4-nonylphenol and estrogen-17β on expression of estrogen receptor α gene in smolting sockeye salmon.2005

    • 著者名/発表者名
      Luo, Q.et al.(他6名)
    • 雑誌名

      Comparative Biochemistry and Physiology, Part C (印刷中)

  • [雑誌論文] Retinotectal transmission in the optic tectum of rainbow trout.2005

    • 著者名/発表者名
      Kinoshita, M. et al.(他7名)
    • 雑誌名

      Journal of Comparative Neurology (印刷中)

  • [雑誌論文] Localization of mRNAs encoding α and β subunits of soluble guanylyl cyclase in the brain of rainbow trout : comparison with the distribution of neuronal nitric oxide synthase.2004

    • 著者名/発表者名
      Ando H.et al.(他5名)
    • 雑誌名

      Brain Research 1013

      ページ: 13-29

  • [雑誌論文] Genetic population structure of chum salmon in the Pacific Rim inferred from mitochondrial DNA sequence variation.2004

    • 著者名/発表者名
      Sato, S.et al.(他13名)
    • 雑誌名

      Environmental Biology of Fishes 69

      ページ: 37-50

  • [雑誌論文] Attenuation of diurnal rhythms in plasma levels of melatonin and cortisol, and hypo-thalamic contents of vasotocin and isotocin mRNAs in pre-spawning chum salmon.2004

    • 著者名/発表者名
      Saito, D.et al.(他3名)
    • 雑誌名

      General and Comparative Endocrinology 137

      ページ: 62-68

  • [図書] サケ・マスの生態と進化(前川光司 編)2004

    • 著者名/発表者名
      浦野明央(他2名)
    • 総ページ数
      335
    • 出版者
      文一総合出版
    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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