研究概要 |
テッポウユリの有性生殖過程(雄性配偶子形成過程)で見出された5種類のヒストン変種(減数分裂特異的ヒストンmH1,雄原核豊富ヒストンgH1,雄原核特異的ヒストンgH2A, gH2B, gH3)の機能を明らかにするために、それらのcDNAをアグロバクテリウム法によってタバコ培養細胞BY-2へ遺伝子導入し、タバコの形質転換を試みた。プロモーターにはCaMV35Sを用い、また挙動解析のためにレポーターとしてGFP (green fluorescent protein)と接続したコンストラクトも同様に導入した。 その結果、いずれの場合においてもBY-2での異種ヒストンの継続的な発現がGFP蛍光や特異的抗体を用いたウエスタンブロット法によって確認された。さらに、免疫電子顕微鏡法による観察から、それらがタバコのクロマチンとして使用されていることが推察された。ただし、外来ヒストンの存在量は既存のヒストンに比べて少なく、BY-2の細胞周期の進行などに顕著な影響は見られなかった。 増殖の活発な培養細胞では、変種ヒストンの発現が少ないとの報告もあることから、次にタバコ植物体への遺伝子導入を行い、核構造や形態形成、特に花粉形成や雄性配偶子形成への影響を解析していく予定である。そのためには、花粉特異的プロモーターや雄原細胞特異的プロモーターの使用も必要と予想され、現在そのコンストラクトを作成中である。
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