ショウジョウバエ視細胞において、ロドプシンなどを含む小胞の新規輸送経路を明らかにする目的で、まず、その経路に含まれると考えられる輸送小胞、細胞小器官の単離を試みた。 (1)未成熟のオプシンを含む小胞、小器官を得るために、ショウジョウバエをカロテノイドおよびレチノイド非存在下で飼育し、オプシンの成熟を阻害した。このハエの網膜懸濁液に、抗オプシン抗体で被覆した磁気ビーズを加えてインキュベートし、ビーズに吸着した膜を回収した。得られた膜画分を、抗オプシン抗体を用いたイムノブロッティングにより解析した結果、未成熟オプシンを含む膜が回収されていることが確認された。 (2)オプシンが受容膜に輸送される経路の一部に、エンドサイトーシス経路が用いられていることが示唆されている。そこで、エンドソーム・リソソーム形成と関係が深いと考えられている色素顆粒についても、その精製を行った。網膜懸濁液を2ステップのショ糖密度勾配遠心により分画し、各画分に含まれる小器官を蛍光染色、酵素活性および分光測定により検討した。その結果、色素顆粒を豊富に含むと思われる画分を得ることに成功し、更にこの画分を電子顕微鏡により観察した結果、非常に高純度に色素顆粒が濃縮されていることが明らかになった。現在これらの小胞、細胞器官に関して、2次元電気泳動などによる解析を進めており、各分画特異的で、かつ、比較的多量に存在する蛋白質から、配列解析などを行う予定である。
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