1.本研究では長期間にわたり24時間以外の様々な周期での制限給餌を継続し、行動リズムを記録する必要がある。しかし毎日餌を出し入れすることによってこのような非24時間の制限給餌リズムを作ることは、実験者への大きな負担となるばかりではなく、実験動物にも給餌以外の多くの刺激を与えてしまうことになる。そのために本年度は自動制限給餌装置をつけたマウスの輪回し行動リズム記録装置の製作に取り組み、完成させることができた。これによりあらゆる周期での自動制限給餌下での長期間の活動リズムの記録が可能となった。 2.本研究では視交叉上核を破壊したCryptochromeノックアウトマウスを用いる必要がある。このため先ずwild typeのマウスを用いて視交叉上核の電気破壊を試み、破壊後の恒暗下での行動リズムへの影響と脳の組織切片の作成により破壊の程度を確認し、電気破壊のための諸条件を決定した。 3.予備実験として上記のwild typeマウスを12時間明期、12時間暗期の明暗条件下で飼育し、自動制限給餌装置を用いて本来活動期ではない明期の4時間だけに給餌をする制限給餌を行った。この結果このマウスの夜行性の行動リズムが消失し制限給餌に同調した明瞭な活動リズムが出現した。制限給餌を自由摂食に切りかえるとマウスは再び本来の夜行性のリズムにシフトした。これにより自作の輪回し行動記録装置および制限給餌装置が、制限給餌による行動リズムを指標とした本研究の実験装置として十分に機能するものであることが確認された。
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