研究課題/領域番号 |
14540637
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
大島 範子 東邦大学, 理学部, 教授 (70057735)
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研究分担者 |
大富 美智子 東邦大学, 理学部, 助教授 (60057742)
杉本 雅純 東邦大学, 理学部, 助教授 (20235899)
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キーワード | ナイルティラピア / 赤色素胞 / 視物質 / エンドセリン / エンドセリン受容体 / Gタンパク質 / 細胞内情報伝達 / 虹色素胞 |
研究概要 |
本年度の成果は以下のようにまとめることができる。 (1)色素胞の存在するナイルティラピア尾鰭には錐体赤、錐体緑のmRNAが存在することは繰り返し確認されたが、400nmの波長光を吸収する視物質の発現は見出せなかった。引き続き、組織からのRNA抽出を試み、改良を加える。 (2)ナイルティラピア尾鰭の赤色素胞は400、500、600nm以外に、365±10nmの紫外線Aにたいしても色素顆粒の凝集で反応することが新たにわかり、この赤色素胞には少なくとも4種類の視物質の存在が予想される。 (3)ナイルティラピア尾鰭におけるGtタンパク質のmRNA発現をRT-PCRで調べたが、発現はないものと判断された。Gi、Gsの発現は認められた。魚類色素胞では光受容体(視物質)はGtと共役していない可能牲が高い。 (4)エンドセリン(ET)は直接、色素胞に作用することが、培養色素胞を用いて証明された。 (5)ETは黒色素胞では色素顆粒凝集を、白色素胞では拡散を起こすが、ネオンテトラ虹色素胞に及ぼすET-1、-2、-3の効果を初めて調べたところ、いずれも虹色素胞からの反射光波長を長波長側に移動させることが明らかとなった。濃度-反応曲線はET-1、-2、-3でほぼ同じであり、その効果に差はないと判断された。 (6)ET-1、-2、-3の色素胞内情報伝達機構について検討した。黒色素胞・虹色素胞ではET受容体はGiと共役し、アデニル酸シクラーゼ活性を抑制、細胞内cAMP濃度が減少していることが示唆された。白色素胞ではET受容体はGsと共役、cAMP濃度が増加していることがわかった。ET受容体はどの色素胞種においてもB型であることが、薬理学的な実験、ならびにET受容体B型に対する抗体を用いた免疫染色で示された。すなわち魚類色素胞に存在するET受容体B型はさらに2つのタイプに分けられることがわかった。B型は一搬にGqと共役するという報告が多く、Giとの共役の例も比較的少ないが、特にGsと共役するという報告はほとんどないので、さらなる解析が期待される。
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