研究課題
チャボキントキ属(Carpopeltis)のマツノリ(日本・中国産)とコメノリ(日本産)、キョウノヒモ属(Sinkoraena)のキョウノヒモ(日本産)及びマタボウ属(Polyopes)のマタボウ(日本産)をオーストラリア産Polyopes constrictus並びにSinkoraena tasmanicaと比較した。これらはすべて同じタイプの助細胞アンプル構造を示し、rbcL(リブロース-1,5-二リンカルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ大サブユニット)遺伝子の塩基配列を用いた分子系統学的解析では単系統になることが明らかになり、すべての種を1つの属Polyopesに収容する論文を印刷公表した。コメノリに類似したマタボウ属の新種を高知県土佐清水市において見つけ、藻体の構造と生殖器官について詳しい観察を行うと同時に、マタボウ属の入手できたすべての8種についてrbcL遺伝子配列の比較を行った。ハワイ産P.hakalauensisに近い新種であることが示され、原稿を投稿中である。チャボキントキ属とイソノハナ属の調査を八重山諸島と小笠原諸島のサンゴ礁で行った。チャボキントキ属のタイプ種Carpopeltis phyllophora(オーストラリア産)とのrbcL遺伝子配列の比較では、チャボキントキ属はイソノハナ属(Halymenia)並びにカクレイト属(Cryptonemia)に非常に近いことが明らかになった。チャボキントキ属とされていたウスバキントキ(マレーシア・ベトナム産)とチャボキントキ(日本産)は、この属のタイプ種とは異なるクレードに入り、また生殖器官構造においても異なっていることが明らかになった。また、これらと同じ特徴を持ち、未記載と思われる1種を与那国島で得た。これらの種群に対する分類学的扱いについて検討中である。
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