1.ニハイチュウの分類 日本近海産12種の頭足類(アオリイカ、ヒメコウイカ、シリヤケイカ、スナダコ、ヨツメダコ、ヤナギダコ、ミミイカ、ハリイカ、シシイカ、スルメイカ、ヒョウモンコウイカ、ボウズイカ)の腎臓を調べ、寄生するニハイチュウを検索し、3属27新種のニハイチュウを発見した。 2.日本近海産頭足類の系統 ニハイチュウと頭足類の共進化の実体を調べるために、ニハイチュウとホストの頭足類について分子系統学的解析を行っている。33種の日本近海産頭足類について、16S mt rDNA、12S mt rDNA、およびmt COI遺伝子の部分配列を決定し、それを基に系統樹を作成して系統関係を検討した。その結果、十腕類では前回の報告で不明瞭であったダンゴイカ類がコウイカ類よりスルメイカ類に近縁であり、また八腕類ではアオイガイが他の種と比べて原始的なタコであることが示唆された(2004年度日本動物学会で発表)。 3.蠕虫型幼生における細胞数と細胞の種類における多様性 ニハイチュウの蠕虫型幼生について、形態、細胞の種類、体細胞数、および体細胞数のヴァリエーションを系統的に調べた。科のレベルで、幼生の形態と細胞の種類に大きな違いが見られた。体細胞数は、10から40個まで分布し、ほとんどの種で体細胞数は一定数であるが、体皮細胞数の多い種に散らばりがみられるものがあった。そのちらばりが見られるのは胴部の体皮細胞のみであった。それは細胞数が多くなればなるほど散らばりの幅も大きかった(2004年度日本動物学会で発表)。
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