研究課題/領域番号 |
14540649
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
菅原 敬 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10226425)
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研究分担者 |
藤井 紀行 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (40305412)
加藤 英寿 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (50305413)
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キーワード | 分子系統 / ウマノスズクサ科 / カンアオイ属 / タイリンアオイ節 / 系統地理 / 種分化 / 葉緑体DNA |
研究概要 |
本研究は、台湾、九州、東海地方から関東南部にかけて分布するタイリンアオイ節6種の種分化と形質進化の方向性、そして地理的分布との関わりについて考察することを目的としている。これら6種は日本列島の西から東への分布拡大というイベントの過程で種分化したと考えられている。その根拠には萼筒形態に認められる共通性と雌蘂形態における西から東へのクライン的変化が挙げられている。この研究は、これら6種について形態の再検討を行い、そして最近の分子系統学的解析手法を取り入れて、関連植物の進化的分化の方向性を明らかにし、その結果に基づいて上記の仮説を検討するものである。 今年度はまず研究対まであるタイリンアオイ節6種それぞれの分布地(九州南部、九州北部、東海、伊豆半島、関東南部)数集団から分子系統解析に使用するための試料の採取を積極的に進めてきた。またタイリンアオイ節の外群に使用するためにミヤコアオイ節植物種ついても近畿地方での試料の採取を行い、これまで台湾産の一部を除き、試料をほぼ揃えることができた。採取した試料は、その一部を形態観察用に栽培して維持し、葉はシリカゲルで乾燥し、DNA抽出のための試料として保存した。その後、乾燥した葉の試料よりCTAB法で全DNAを抽出し、PCR法で葉緑体DNAのmatK遺伝子を含むtrnT-trnF領域を増幅した後、DNAオートシークエンサーを用いて塩基配列の決定を進めている。これまでに採取した試料からのDNA抽出は比較的スムーズに進んでいるが、増幅の段階で難点もあったが、現在はそれも克服しつつある。現在、このタイリンアオイ節植物の分子系統解析にどの領域がもっとも適切かを検討している段階であるが、次年度早々には特定の領域に絞った解析を進めたいと考えている。
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