研究概要 |
沖縄本島の億首川河口付近、西表島の相良川・後良川河口付近、船浦に分布するマングローブ林、および沖縄本島の名護岳、西表島の大富、古見、南風田の亜熱帯林において、コウヤクタケ類および類縁菌類(担子菌門)のフロラを明らかにするために発生子実体の収集を行い、種多様性の解析と生息菌類の生理的機能を調査するために分離菌株および腐朽材を収集した。本調査期間中に150点の子実体標本を得ることができ、これらの内70点については多胞子分離、子実体組織分離あるいは基質材から分離菌株を得、純粋培養後液体窒素凍結保存を行った。また、調査した4箇所のマングローブ林については、調査区を設定し、発生きのこ種の調査および腐朽材片を150点採取し、各材片から腐朽菌類の分離培養を行った。分離培養菌株については純粋培養後、現在DNA解析を進めている。また、各材片の一部は直接DNA解析用に供試する予定である。今回の調査採集で得られた子実体乾燥標本については順次、光学顕微鏡および走査型電子顕微鏡を用いて分類学的同定を行い、現在までに沖縄本島および西表島マングローブ林生息種として9属16種のコウヤクタケ類を同定し、新たに日本未報告種として、Cerocorticium molle (Berk. & M.A. Curtis) Julich、Gloeocystidiellum moniliformis Sheng H. Wu、G. wakullum Burds.,Nakasone & G.W. Freeman、Hyphoderma ayresii (Berk.) Boidin & Gilles、Phaenerochaete tropica (Sheng H. Wu) HjortstamおよびPhlebia acanthocystis Gilb. & Nakasoneの5属6種を見出した。
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