研究概要 |
本研究においては,3年間の調査によって,琉球列島にどのような岩石穿孔性テッポウエビ類が生息しているか,どのような生活をしているかを明らかにすることを目的としている。初年度においては,文献資料を収集してカリブ海やミクロネシアにおける先行研究を調査し,西大西洋から2種,インド西太平洋海域から10種が知られていることが明らかになった。次年度には石垣島と西表島で採集を行い,多数の標本を得た。2種であることが明らかにされた。本年度は琉球列島北部の奄美大島に調査を限定し,場所を変えて2回調査した。現地で岩石を割ってエビを採集するとともに,いわゆるライブロックを採集し水族館に運んだ。一部は内部のエビとともに固定して博物館に保管した。採集したエビ類は琉球列島南部産とは別種と考えられるため,現在同定作業を進めている。抱卵個体を採集できたので,一部は固定して保存したが,発生が進んでいる個体を短期間であるが飼育し,ゾエア幼生を得ることができた。現在その論文を作成中である。岩石をきれいに割ることが難しいので,巣孔の形状を明らかにすることができなかったが,最終年度の調査において,ライブロックを博物館に送り,地学研究部の協力を得て岩石カッターによりスライス標本を作成することを計画している。なお,調査は(財)名古屋港水族館の堀井直二郎技官の協力を得て行われた。
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