研究課題
旧世界の亜熱帯から温帯地域に広く分布するツリフネソウ属植物には、中国西南部・ヒマラヤ地域で特に多様化した一グループがあり、これを「中国西南部・ヒマラヤ地域種群」として分析している。本研究で対象とするのは、この「中国西南部・ヒマラヤ地域種群」の中でも特に多様性が高く、種の認識が困難と考えられるImpatiens drepanophoraとその近縁種からなる種群(「drepanophora群」と称する)である。平成17年度は、平成16年度に引き続きこの群について以下の解析を進めた。1.野外の自生地で収集した標本を中心に、成熟花を双眼実体顕微鏡を用いて解剖し、花の各器官の形態を観察し、図化した。観察した花部各器官の形態を解析し、変異性を調べた。また、種間の相違点を明らかにするために、各種の花部器官について比較を行ない、異同を明らかにした。2.1と同様に、これまでに得られた標本にもとづき、従来分類形質のひとつとして重視されている花序の形態について解析を行なった。3.国内外の標本室に収蔵される標本についても、1および2と同様の解析を行なった。4.これまでに記載されている種の形態形質における異同を明らかにするために、各種の花部器官および花序の形態について明らかにした異同との比較検討を行なった。特に、中国産の種については、Flora of Chinaの1巻として、これまでの成果を総合して、種の記載等を行い、現在印刷中である。5.上記研究の過程で明らかになったキナバル産の種を新種として専門誌に発表した。また、この新種を含む種の染色体数について専門誌に発表した。
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Journal of Japanese Botaty 80
ページ: 266-270
ページ: 271-277