研究課題
ユーラシア大陸各地から見つかっている新生代後半(後期中新世〜前期更新世)の旧世界ザル類(オナガザル上科Cercopithecidae)化石に関する情報収集をおこない、その産出地点・年代・系統的位置に関して再検討した。ユーラシア大陸における旧世界ザル類の出現は中新世末(約600万年前)である。従来はヨーロッパに先に出現したと考えられていたが、最近中国北部の河北省楡社Yusheの中新世末の地層からマカク類と思われる遊離歯化石が発見され、従来の仮説の見直しが迫られている。楡社の化石は年代的にヨーロッパの最古のマカク化石に匹敵し、またその発見地点は十ら東アジアのマカク類の進出経路と考えられてきた南アジア地域よりも遙かに北方に位置し、これまでのマカク類の進化プロセス仮説の再検討を促すものである。本研究ではこういった最新の化石情報を再編し、ユーラシア大陸における旧世界ザル類の進化プロセス仮説を検討した。研究結果は現在論文としてまとめている最中であるが、オナガザル亜科Cercopithecinaeの進化プロセス仮説に関しては既に論文として発表している(高井、2005)。現在コロブス亜科Colobinaeの進化プロセスに関する論文を準備中である。またオナガザル亜科とコロブス亜科を含めた旧世界ザル類全体(=オナガザル上科)の進化に関して、地球全体の気候変動と植生の変化と関連させた形で総括論文を準備中である。
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