研究課題
基盤研究(C)
ネアンデルタールの小児人骨の研究が盛んである。また、最近では、CTおよびコンピュータを用いて、スイスの研究者たちがネアンデルタール幼児頭蓋と現代人幼児頭蓋の形態差を明らかにした(Ponce de Leon and Zollikofer,2001)。ネアンデルタールと現代人は、幼児から形態が違っているという結果である。成長が違うということが分かれば、ネアンデルタールと現代人との距離はずっと大きくなるので、分析を進めた。デデリエ1号と2号を中心として、他のネアンデルタール人骨、さらには、スフール・カフゼーの幼児人骨の頭蓋の計測値を、現代人と比較検討した。方法は、単変量と示数である。現代人資料は、日本人に加えて、フランス人資料を文献から、用いた。デデリエ1号と2号は、ともに、2歳くらいと推定されるが、その年齢ですでに、現代人とは、明らかに異なる計測項目が存在する。たとえば、高い眼窩、顔面の立体さ、広い犬歯間距離、大きい後頭骨、幅広い鼻骨などである。これらは、過去の多変量分析の結果と一致するものである。しかし、細かく見ると、咀嚼に関係する項目では、ネアンデルタールの計測値には、ばらつきがみられ、現代人と有意な差が見られない。また、2歳では有意差がなく、3,4歳から急激に大きくなる項目もあり、成長の問題とからめ、興味深い点が見られた。これは、成長が早いという先の推論を裏付けるものになるかもしれない。これらの点は、ネアンデルタールと現代人の違いを明瞭にしたと考えられる。また、もちろん、成人のように、重なり合いが大きく、区別できない部分もあることはある。このように、形態そのものが違うとか似ているとかいう点だけではなく、成長や行動から系統を論議する視点ができれば、形態研究も脱皮できるものと思う。最後に機能を考えて、解剖学的に細かくみていくことが必要と思われる。
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