研究課題/領域番号 |
14540662
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
榎本 知郎 東海大学, 医学部, 助教授 (80056316)
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研究分担者 |
花本 秀子 東海大学, 医学部, 助手 (50156824)
松林 清明 京都大学, 霊長類研究所・人類進化モデル研究センター, 教授 (50027497)
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キーワード | 精子形成 / ゴリラ / チンパンジー / オランウータン / ヒト / 精巣 / アポトシス / エストロゲン受容体 |
研究概要 |
精子発生の活性をヒト科の4種で比較した。オトナのヒト(N=1)、ゴリラ(N=11)、チンパンジー(N=5)、オランウータン(N=4)の死亡個体から精巣を採取し、通常の組織学標本を作製した。これを光学顕微鏡で観察し、精上皮サイクルが、これら類人猿ではすべて6ステージに分けられることを明らかにした。また、ヒトを含むすべての種で、合胞体と思われる巨大な精子形成細胞が認められた。 精子発生指数(Spermatogenetic Index ; SI)と減数分裂指数(Meiotic Index ; MI)を算定した。ゴリラは、11サンプルのうち7サンプルで成熟精子細胞が認められないなど、精子発生が極めて低調で、平均SIは0.80、MIは0.48であった。これに対し、チンパンジーはそれぞれ8.30、3.49と、精子発生が活発であった。オランウータンは、それぞれ5.98、2.63で、ゴリラとチンパンジーの中間的な値を示した。また、ヒトのSI、MIは3.7、1.67で、オランウータンのレンジに重なるが、ゴリラ、チンパンジーのレンジとは重複しなかった。SIに精巣重量と精巣内における精細管の割合をかけて、相対的な精子産生量を推定した。ヒトのそれを1としたとき、チンパンジーは7.4であるのに対し、ゴリラは0.06と極めて少なく、またオランウータンは1.2で、ヒトと同程度であった。 こうした精子形成の違いがどんなメカニズムで引き起こされ、それぞれの種が進化の過程でどのような繁殖戦略を採ったのかを解明するため、精子形成にまつわるいくつかの点を、免疫組織化学的な手法で分析を加えるべく準備を進めた。すなわち、エストロゲン・レセプターα、β、アロマターゼの染色、またアポトシスを検出するためのTUNEL法のプロトコルを確立した。
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