輪郭線抽出のための閾値の設定および対象の分離について再検討した。輪郭線の抽出を試験するためのデータとして、動作空間が問題となるような狭い空間での作業として、実際の浴室の洗い場で、体を洗っている状態を撮影して用いた。以下の工夫を加えた。基準画面と分析画面の差(差分画面)の各画素において、異なるとみなすか同一とみなすかの境、閾値の決定を先ず検討した。この閾値は、標準としては、差分画面の各画素の分布において、値の小さな部分に生じる群の最高値付近を自動設定させた。ただし影が濃い場合は不適切な値となるので、分布を見ながら値を手動で設定できるようなインターフェイスとした。また基準画面と分析画面の相関を求めて、その相関が高い部分は分析面に背景が残っているとみなした。また差分画面と分析画面および差分画面と基準画面の相関を求め、その相関の差が大きい場合は、基準画面または分析画面のどちらかの影響が強いことから、対象が存在する可能性が高いと考え、その部分で抽出画面に小さな欠落がある部分を、対象へと修正した。依然として背景と対象との差が小さい場合の認識はできない場合が多いが、旧システムに比べると明らかに検出能力が高くなった。 学会発表において、ヒトを対象とする場合は赤外線カメラを用いることで、認識しやすくなるのではないかとの指摘を受けた。そのため安価に入手できる赤外線カメラを用いて検討を行なったが、効果は無かった。 複数の輪郭線から対象とするべき輪郭線の選択、輪郭線の条件分け、輪郭線データおよび基準画面の保存と読み込み、較正データの作成インターフェイスなどの作成を行った。近距離での撮影では、対象の奥行きが測定誤差に大きく関係するため、それを考慮した最終的な輪郭線データの分析部の作成を行なっている。
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