一般のパソコン・ビデオ機器・デジタルカメラ等を用いて、動作空間を測定するソフトウェアを開発した。AVI形式の動画ファイルを読み込んで、対象の輪郭線を求めて、その輪郭線を重ね合わせて示し、人が指定した位置を実際の値に較正して示すことで、動作空間を求めるものである。輪郭線の抽出は、対象が無い状態での画像(基準画像)を、対象が加わった画像(分析画像)と比較して、異なる部分を対象として抽出した。基準画像と分析画像の比較は、各画素についてそのまま単純に比較する以外に、両画面を、色差(赤・緑・青の値の差)、3種類の方法で求めた輪郭線抽出画像としてからも行った。また、各画素ごとの比較ではなく、基準画像、分析画像、および差分画像(基準画像と分析画像の差分)の間で、小さな方形範囲(1辺が3から9画素)において相関を求め、その相関から、各方形範囲に対象が含まれているかいないかの判断を行った。以上と他の2つの方法は基準画像と分析画像を比較することで対象を抽出する。基準画像とは関係無く、分析画像の特定の色の部分について対象への抽出または排除を行なう色識別法も加えた。これらの識別方法を選択・複合して総合的な判断を行なう。色識別法を用いることで、特定の部位を対象とすることと複数の対象を識別することが可能となった。対象の設定の自由度が増すと共に、各対象の中心座標も求めるようにすることで、動作空間の決定に影響を与える要因を調べるための動作・姿勢分析的な機能も持った。また各画素について、対象の存在についての情報として、頻度、回数、最長持続時間、最長非存在持続時間、標準偏差などを分布図と値のファイルとして求めることができる。これらの情報で空間利用の量的な観点から動作空間を決定することもできる。
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