研究概要 |
斜方晶ニオブ醸カリウム(KNb03)は強誘電性材料である。最遍の結晶が、電気機械結合係数が大きいことが明らかになり、移動体通信のキーデバイスである弾性表面波(SAW)素子またバルク波圧電素子でも環境を汚染しない無鉛圧電材料として注目されるようになった。 しかし今まで行なわれている融液からの単結晶育成では、2つの相転移のために多分域が生じ、デバイスとしては使用できない状況である。申請者は、単分域結晶が低コストで育成できるニオブ酸カリウムの低温合成法(水溶液成長、水熱合成法)を検討し、以下の結果を得た。 1.水溶液成長 原書(K2Nb03F)の焼成温度と生成する斜方晶ニオブ酸カリウム結晶の粒径の関係を検討し、原料の焼成温度が高いと、生成する斜方晶二オブ酸カリウムの粒径は大きくなることを明らかにした。この関係は原料の溶解時のニオブ酸カリウム過飽和度を検討することで説明出来、今後の水溶液成長ニオブ醸カリウムを大きくするための指針を得た。 2.水熱合成 水溶液成長と同じ原料を用いて、-4000℃までの水熱合成実験を行い、水熱合成法で二オブ酸カリウム結晶の生成を確認した。昨年ニオブ酸カリウム結晶の水熱合成は、Nb205,KOH水溶液を原料に報告されているので、この方法も同時に検討し数日の育成ではニオブ酸カリウムが生成するが、3週間の実験期間では生成したニオブ酸カリウムが溶解していることが確認された。これはこの方法のニオブ酸カリウケが安定相ではなく、準安定相であることを示している。この原因はKを置換して水素晶中に固溶かしているからと思われる。一方我々の方法では、実験時間を長くすると生成するニオブ酸カリウムの粒径は大きくなり、安定相として成長していることを示している。今後はさらに水熱合成を行い、大口径結晶の生成の指針を明らかにする。
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