α-リン酸ジルコニウムから剥離微粒子を作製することで高比表面積センサ感応膜を作製可能であることを見出し、アンモニアガスに対する応答について検討した。その結果、比表面積の大きさは剥離微粒子水溶液のpHに依存し、pHを大きくするにつれて比表面積も大きくなり、pH11で最大124.8m^2/gの感応膜を作製可能となった。また、各比表面積ごとにアンモニアセンサ応答を測定したところ、感応膜比表面積とセンサ応答の間には比例関係が存在していた。また、0^-17.5ppmの間でのセンサ応答はアンモニア濃度が上昇するにつれて飽和したが、0^-4.2ppmの低濃度状態では、センサ応答とアンモニア濃度の関係は直線で近似可能であることがわかった。 作製したアンモニアガスセンサ感応膜はセンサ応答に温度湿度依存性を有していることがわかった。また、その際の依存関係は温度の2乗式、湿度の4乗式で近似可能であることが判明した。しかし、応答感度の小さくなる20%以下の低湿度では、近似式と測定データとの誤差が増大した。作製したセンサの安定性を吸着脱離実験を連続10回行なうことで評価したところ、ほぼ一定の応答量が得られた。また、応答に対する1割ほどのベースラインの上昇はみられたが、測定後、90℃でアニール処理を施すことにより、ベースラインはほぼもとの状態に回復した。 さらに、測定データを元に実用化に向けたセンサデバイスを作製した。作製したセンサデバイスと市販されている半導体式アンモニアガスセンサとの比較を行なったところ、応答時間はほぼ同程度であった。また、作製したセンサデバイスの方が湿度依存は大きいものの低濃度のアンモニアに対する感度は優れているということが判明した。
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