研究概要 |
環境半導体β-FeSi_2の直接吸収端(吸収係数は10^5cm^<-1>以上)の圧力効果を明らかにし,その結果,直接吸収端の圧力係数は15.9meV/GPaと見積もる事ができた昨年の成果に引き続き,今年度は格子定数の圧力効果と連結することにより,直接吸収端のバンドギャップの変形ポテンシャルを-3.86eVと決定することができた。また,第一原理計算によるブリルアン域Y点のバンドギャップの変形ポテンシャルは-2.4eVと見積もられた。理論では,格子定数の一様圧縮,内部座標不変などの仮定があるが,実験結果と照応していると考えられる。sp^3混成軌道からなる平均価電子<IV>群の半導体GaAs等の直接吸収端の変形ポテンシャルは-8eV程度であり,それと比較して小さい。これらの半導体の荷電子帯はsp^3混成軌道の結合軌道,伝導帯は反結合軌道であり,原子間距離の縮小に伴い,結合軌道は真空準位側へ,反結合軌道は反真空準位側へ動く。β-FeSi_2の荷電子帯はpd混成軌道の反結合軌道,伝導帯も反結合軌道であり,何れもが原子間距離の縮小に伴い真空準位側に動く。これらの定性的な差が変形ポテンシャルの差に出ていると考えられる。
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