研究概要 |
β-FeSi_2はFeのd電子が価電子帯,伝導帯の両方に分布するというこれまでの半導体にない特徴を有し,高い吸収係数(1eVで10^5cm^<-1>)を示す。高圧力下の光吸収測定から,吸収係数は双極子近似の理論吸収係数をバンド端直上で大きく上回っていることを発見した。その説明として低次元バンド分散性に由来する励起子を提案した。また,圧力係数はたいへん低い値を持つことが分かった。その要因として価電子帯が原子間距離縮小に伴い上昇する仮説を提案した。さらに高圧力下のX線構造回折実験を行い,体積弾性率が243.5GPaであること示し,SiCを凌ぎダイアモンド,BNに次ぐ硬さを有する物質であることを明らかにした。これはFeのd電子とSiのsp結合とFeが8配位を持つことに由来する。以上の成果は全て世界初の結果であり,Phys.Rev.BとJ.Appl.Phys.に採録された。さらに、ナノFeSi_2の吸収特性を調べ、結晶に較べて10%以上吸収係数が大きいことを明らかにし、その原因としてナノFeSi_2に応力が働いているのではないかとの可能性を指摘した。
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