クラスターイオン分析法の研究

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 14550025
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 松尾 二郎 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40263123)
• 研究分担者: 高岡 義寛 京都大学, 工学研究科, 教授 (90135525)
• キーワード: クラスター / SIMS / 分析 / 2次イオン / 非線形 / 半導体 / イオンビーム / 多体衝突

研究概要

ナノドットなど急速に進歩しているナノ材料技術を支える材料分析技術にも大きなブレークスルーが求められている。現在の分析感度や深さ分解能は不十分であり、ナノレベルに達している材料開発に支障をきたしている。本研究は、クラスターイオンと固体との間に起きる非線形照射効果を利用し、ナノ材料開発に不可欠な表面分析手法の感度、分解能の飛躍的な向上を目的とするものである。分子の集合体であるクラスターをイオン化したクラスターイオンビームは、極めて大きな質量電荷比を持つので、高い電圧で加速しても、等価的には低エネルギーのイオンビームであり、高い深さ分可能を実現できると期待される。また、多数の原子が同時に局所的に表面で衝突する多体効果による新規な現象を利用して高感度なクラスタービーム分析手法の確立を行い、ナノ分析技術に新展開をはかる。
昨年度試作した小型ガスクラスターイオン源を、既存の超高真空装置に取り付けイオン源の特性評価を行い、小型の永久磁石による磁場を用いたモノマーイオンの分離を行うとともに、クラスターSIMS分析法によるシリコン表面分析を行った。Arクラスターだけでなく酸素クラスターイオンによる二次イオンの検出もおこない、電気陰性度の高い酸素により二次イオン発生効率が向上することを明らかにした。
深さ分解能を向上させるために、クラスターイオンビームを走査し、ゲート法と組み合わせた研究を行う予定である。

研究成果

• [文献書誌] T.Seki, Jiro Matsuo, G.H.Takaoka, Isao Yamada: "Generation of the large current cluster ion beam"NIMB (Nuclear Instruments and Methods in Physics Research). B206. 902-906 (2003)
• [文献書誌] Takaaki Aoki, Jiro Matsuo, Gikan Takaoka, Isao Yamada: "Cluster species and cluster size dependence of damage formation by cluster ion impact"NIMB (Nuclear Instruments and Methods in Physics Research). B206. 861-865 (2003)
• [文献書誌] Takaaki Aoki, Jiro Matsuo, G.Takaoka, N.Toyoda, I.Yamada: "Defect characteristics by boron clustr ion implantation"NIMB (Nuclear Instruments and Methods in Physics Research). B206. 855-860 (2003)
• [文献書誌] A.Nakai, T.Aoki, T.Seki, J.Matsuo, G.H.Takaoka, I.Yamada: "Modeling of surface smoothing process by cluster ion beam irradiation"NIMB (Nuclear Instruments and Methods in Physics Research). B206. 842-845 (2003)
• [文献書誌] Jiro Matsuo, Toshio Seki, Takaaki Aoki, Isao Yamada: "Atomic study of cluster collision on solid surfaces"NIMB (Nuclear Instruments and Methods in Physics Research). B206. 838-841 (2003)
• [文献書誌] Takaaki Aoki, Jiro Matsuo, Gikan Takaoka: "Molecular dynamics study of damage formation characteristics by large cluster ion impacts"NIMB (Nuclear Instruments and Methods in Physics Research). B202. 278-282 (2003)