研究課題
基盤研究(C)
PETに代表されるプラスチック容器は、清涼飲料や食品容器として、従来の金属缶やガラス瓶にくらべて安価でその取り扱いが容易であり、且つリサイクル可能なことから、広く使われるようになってきた。しかしながら、酸素や炭酸ガスに対するバリア性が悪い(ガスが透過してしまう)ためその用途は限定されており、ビールなどの炭酸を含んだ酒や、酸化を嫌う食品などの長期保存には向いていないという問題があった。この問題点を解決するための試みとして、プラズマを使ってDLCをコーティングする技術が開発されていたが、基本的に膜を付着させる技術であったため、剥離片が食品中へ混入するおそれがあった。それに対してここで開発した技術は、イオン注入による表面改質であるため、そのような問題はない。この研究では、簡便なプラズマイオン注入技術を応用した。シート状のPETサンプルに窒素イオンを10^<16>/cm^2以上注入することによりPET分子が100%近く破壊され(全反射型FT-IR計測)、水素などが離脱した後、残ったカーボンがアモルファス状になって、いわゆるDLCを形成している(レーザラマン計測)ことを確認した(平成14年度成果)。また、この改質により酸素や炭酸ガスに対するバリア性が数倍上がることを確認した(平成15年度成果)。さらに、PETボトル内面にイオン注入できる装置を試作し、市販のPETボトルへの注入実験をしてガスバリア性が2〜3倍向上することを確認した(平成16年度成果)。この値はボトル内のプラズマ密度の均一性を改善することで更に向上できるものと考える。
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