計算機合成ホログラムの計算アルゴリズムをハードウェア上で高速化するために、パイプライン方式を利用した回路設計を行った。これを30万ゲート規模のPLD(Programmable Logic Device)に組み込んでホログラフィ計算専用チップを開発し、1チップで40並列の分散処理を可能にした。 次いで、この専用計算チップに高精細な反射型液晶ディスプレイ(LCD)パネルを組み合わせて、ポータブルな電子ホログラフィ再生装置を試作した。使用したLCDパネルは画素間隔12μm、画素数800×600のものを用いた。計算機合成ホログラムの生成回路とLCD制御回路を1チップに収めて装置の規模を大幅に簡素化し、20cm×20cmの同一基板上に、計算専用チップとホログラムの表示を行うLCDパネル、さらに再生のために必要な光学部品をすべて配置した。本システムはパーソナルコンピュータ(PC)と接続して使用する。PCから送られてくる物体データを基板上でホログラムに変換し、直接ホログラムの干渉縞をLCDに表示する。そこに参照光源としてLED光を照射して、三次元画像を再生する。本システムでは、データの流れはPCからLCDまで一方通行となり、通信負荷による問題は解消されている。また、PCとの通信にはUSB(Universal Serial Bus)を用いた。これにより、ノートパソコン等にも接続可能になり、汎用性を高めた。USBの制御回路も同一基板上に設計・実装した。 上記基板は手配線によって試作したものであるが、現在、これをプリント基板化しているところである。これを用いて、引き続いて高速動作・並列システムの検討を行う予定である。
|