計算機合成ホログラムの計算アルゴリズムをハードウェア上で高速化するために、パイプライン方式を利用した回路設計を行った。これを30万ゲート規模のPLD (Programmable Logic Device)に組み込み、1チップで27並列の分散処理を可能にするホログラフィ計算専用チップを開発した。このチップと、画素間隔12μm、画素数800×600の高精細な反射型液晶ディスプレイ(LCD)を組み合わせて、ポータブルな電子ホログラフィ再生装置を試作した。同一基板上に、計算専用チップとホログラムの表示を行うLCDパネル、さらに再生のために必要な光学部品をすべて配置した。本システムはパーソナルコンピュータ(PC)と接続して使用する。PCから送られてくる物体データを基板上でホログラムに変換し、直接ホログラムの干渉縞をLCDに表示する。そこに参照光源としてLED光を照射して、三次元画像を再生する。PCとの通信にはUSB (Universal Serial Bus)を用いた。これにより、ノートパソコン等にも接続可能となり、汎用性を高めた。USBの制御回路も同一基板上に設計・実装した。 上記基板は手配線によって試作したものであるが、ついで、これをプリント基板化した。上記試作ではLCD制御回路も計算チップ内に収めたが、プリント基板では実装面積に余裕が出るため、これを2チップに分割した。そのために、ホログラフィ計算専用チップ1個あたり39並列の演算が可能となった。また、上記試作機の動作周波数は33MHzであったが、プリント基板によって80MHzで動作することを確認した。今後はこのボードを複数用いた並列システムを構築する予定である。
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