研究課題
基盤研究(C)
光のように高い振動数をもつ波動によって物体構造・形状測定を行う際、通常、参照波を用いた干渉縞測定法が使われるが、本研究は、ガウスフィルタ関数を物体波に掛けて物体の構造・形状をより簡便に再生する新しい方法の確立を目的としていた。まず、最初に、本方法を用いてレーザ光による位相物体再生実験を行った。その結果、レーザ光のガウスビームをガウスフィルタの代わりに使用しても実際に物体位相を波長の約1/10の精度で再生可能であることを確認した。次に、従来、ガウスフィルタによる2次元物体の位相回復において必要であった3回の2次元回折強度測定を、2回に減らすことができる新しい計算アルゴリズムを考案した。しかし、このアルゴリズムは使用できる画像の分点数が32×32点に制限されるという欠点があり、このアルゴリズムの実用化には未だ問題があることがわかった。そこで別の方向として、最近研究が盛んなX線を用いた回折強度からの物体再生の分野へ、本方法を応用する研究を行った。X線の領域ではレーザ光のように適当なガウスビームを作ることは難しいので、新しい物体照明システムとして、微小円形開口にX線を照射して得られる遠方回折分布であるエアリーディスクパターンの中心部分をガウスビームとして近似的に用いることを提案し、計算機シミュレーションでその有効性を示した。さらに別のシステムとして、物体から波動のフレネル回折面上でスリット開口を走査し、その回折光強度を測定することで物体に間接的にガウス関数をかけたデータを得る新しいシステムを提案した。以上のように、本研究ではレーザ光による実証実験を行い、また幾つかの新しい物体再生システムを考案した。今後は、干渉計測が困難であるX線、電子線によるイメージングへ本方法を応用するためのシステムの研究を進めたいと思っている。
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すべて 雑誌論文 (6件)
Applied Optics 43
ページ: 1710-1718
Applied Optics Vol.43, No.8
Applied Optics 42
ページ: 2492-2497
Applied Optics Vol.42, No.14
Applied Optics 41
ページ: 4133-4139
Applied Optics Vol.41, No.20