研究概要 |
(1)光技術を用いた3次元情報の暗号化法として実際の光学系と仮想光学系を組み合わせたハイブリッド光学系による手法を提案した.具体的には実際の光学系を用いて撮影されたディジタルホログラムから計算機を用いたフレネル回折積分によって任意の地点における光の場を求める.得られた光の場に仮想位相マスク(暗号化の鍵にあたる)を用いて位相変調を与える.すなわちこの処理が暗号化である.さらにフレネル回折積分により任意の地点における暗号化された光の場を求め,暗号化ディジタルホログラムとして記録する.暗号化ディジタルホログラムの復号には暗号時に用いた仮想位相マスクの位置と位相分布の情報が必要であり,両者が正しい場合に限り復号に成功する.続いて本技術を応用して複数の3次元情報(物体)をそれぞれ異なった鍵を用いて暗号化した後,一つの暗号化ディジタルホログラムに多重記録できることも示した.対応した鍵を使用した場合に限り暗号化記録された情報を正しく読み出すことができる.(2)これまでに研究代表者らが提案している2次元情報のジョイント変換相関器光学系を用いた暗号化法において,性能向上のために入力位相マスクを光学系の空間帯域幅積に応じて設計する手法を提案した.提案手法によって入力画像に2次元ビットパターンを用いた際のビット誤り率が大幅に低減されることを確認した.(3)(1)の多重記録された暗号化ディジタルホログラムに必要なビット数に関しては現在研究を継続中である.再生画像の画質と多重度,ビット数の関係を明らかにし圧縮率の向上を目指しているところである.(4)(1)で得られた暗号化ディジタルホログラムの復号画像の表現方法としてホログラムの一部分を利用した視差画像による立体視を試み,自然な立体感を得ることに成功した.しかしながらホログラムの一部分を使用しているため画質が低く,画質の向上方法の確立が最重要課題である.
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