物理機構の解明には、使用するFabry-Perot型半導体レーザ(F-P LD)の個別特性に依らず、モード同期状態を安定に実現できることが重要であるため、まずそのための手法を検討した。次にその結果を基にして、端面処理条件やスペクトル線幅の影響を調べた。 また、cw注入光の偏波状態を任意に調節できると共に、F-P LD出力の偏波成分を分離観測できる系を構築し、偏波方向による動作変化を調べた。 (1)結合用セルフォックレンズを外部共振器として利用したスペクトル線幅狭窄化の効果を調べた。セルフォックレンズのフリースペクトルレンズがF-P LDの縦モード間隔と整数比となるように両端を研磨して用いるものである。共振器長300μmと900μmのF-P LDに適用した結果では、モード同期する個体確率が増えること、およびモード同期するcw注入光の許容周波数範囲が拡大する(一例では±50MHz→±90MHz)ことが確かめられた。 (2)上記(1)のスペクトル線幅狭窄化法を適用しつつ、F-P LDの端面処理とモード同期し易さとの関係を調べた。その結果、全光制御モード同期に適した端面処理は、ARコート-劈開であることが分かった。劈開-劈開では、スペクトル線幅狭窄化を施してもモード同期しにくく、HRコート-劈開では全くモード同期しなかった。 (3)スペクトル線幅狭窄化をより確実なものとするために、可変フリースペクトルレンジのFabry-PerotフィルタをLDの後方出力に結合させて外部共振器として用いる方式を机上検討した。実験確認を進めているところである。 (4)cw注入光の偏波による特性変化に関しては、注入cw光の偏波方向をTE、或いはTMに調節すると同時に、発生する四光波混合光のTE成分とTM成分を分離観測できる実験系を構成した。実験の結果では、cw注入光がTEであってもTMであっても、発生する四光波混合成分はTE成分が殆どであった。この結果は、本件急で提案している高繰り返し化やパルス波形整形にとっては好都合な結果である。現在、別の観点から実験を行い、妥当性を調べているところである。
|