使用するFabry-Perot型半導体レーザ(F-P LD)の個体特性に依らず、モード同期状態を安定に実現するための手法を集中的に検討した。次に、繰り返し周波数の二分周、三分周についてモデル検討を行った。 1.F-P LDの個体特性に対する依存性の抑圧 種々の実験から、スペクトル線幅が全光制御モード同期法での重要なパラメータであることが分かった。そこで、多縦モード発振状態を保ったままで、スペクトル線幅を狭窄化する手法として、次の四つを検討した。 (1)前方結合用セルフォックレンズを外部共振器として用いる(前年度実施済み)、(2)可変フリースペクトルレンジのF-Pフィルタを外部共振器として用いる(前年度からの継続)、(3)短尺ファイバをLD後方に結合させ、その反射を利用する、(4)高調波モード同期ファイバリングレーザの出力を注入する、 上記の(1)(2)(3)については実験確認を行い、その得失を比較検討した。その結果、(3)の手法において、1m程度の短尺ファイバを用い、反射減衰量を35dB前後に設定すれば、LDの端面処理にはほぼ無関係にスペクトル線幅を100kHz以下にできることが分かった。経験的にはスペクトル線幅が数MHz以下になればモード同期するため、この手法によってF-P LDの個体特性に対する依存性をほぼ解消できることが分かった。 上記の(4)が実現できれば、周波数が数GHzの安定なマイクロ波源に同期した、繰り返し100GHz以上の光パルス発生が実現できる。そこで、可能性を机上検討すると共に、独自に開発してきた繰り返し周波数1.6GHzの高調波モード同期ファイバリングレーザの安定化実験を行って、スペクトル特性を調べた。縦モード周波数間隔が60GHz以下のF-P LD(共振器長710μm以上)には使用できる可能性があることが分かった。 2.繰り返し周波数の分周法 二分周と三分周についでモデル検討を行った。その結果、入力パルス列と分周パルス列とがF-P LD中で重なる状態と、重ならない状態の二つが可能であることが分かった。相互利得変調など、このモデルで考慮されていない効果によってこの二つのいずれかのみが実現されると予想している。
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