研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は半導体におけるスピン起源の光効果に着目し、その素過程を解明するとともに、獲得した知見を基にしてスピン自由度の利用による新しい光機能を創成することにある。以下に本研究により得られた結果まとめる。・AlGaAs/AlAsのDBR型面発光レーザを、ピコ秒の円偏光パルスを用いた光励起法により電子スピンを偏極させた状態で発振させ、レーザ発振の偏光特性を評価した。電子のスピン自由度を考慮して光増幅過程のモデル化を行うとともに、レーザレート方程式を用いて発振偏光特性の理論解析を行い、「測定結果と比較した。その結果、GaAs活性層においてスピン偏極を担っているのは伝導帯の電子であること、価電子帯ではスピン緩和が速いためスピン偏極がほとんど形成されないことなど、スピン緩和に関する新しい知見を得た。・半導体カーボンナノチューブにおける磁気光学特性の評価を行い、電子エネルギー準位の磁場分裂に伴う光吸収の変化を測定した。本測定により、a)チューブの軸方向に印加磁場が平行な場合、半導体型の単層カーボンナノチューブの基礎吸収端に対応する0.8eVの吸収ピーク近傍で、磁場分裂に伴う吸収スペクトルの変化が観測される,b)軸に対して磁場を垂直に印加した場合は、吸収スペクトルに変化は見られないなどの結果を得た。さらにスピン・角運動量に起因するゼーマン効果を考慮した理論解析を行い、実験結果と比較した。・井戸厚の異なる半導体量子井戸構造について、弾性光学素子を用いて偏光分解フォトルミネッセンス測定を行った。原子層ステップによる層厚ゆらぎの効果が顕著となる薄い量子井戸では、井戸幅が厚い量子井戸やバルクと比較してスピン寿命時間が長くなることなど、励起子の局在化に伴うスピン緩和の抑制効果を見出した。
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