研究概要 |
走査型プローブ顕微鏡(SPM : Scanning Probe Microscope)は極細なプローブを利用し、表面とプローブ先端との間に働く様々な物性をナノメートルスケールという高い空間分解能で検出し、その表面分布像を取得できる顕微鏡である。SPMはまた、表面の観察に用いられるのみではなく、表面のナノスケール加工にも応用されるようになってきており、高密度メモリや半導体の次世代デバイスにおけるリソグラフィー技術の開発など現在様々なアプローチで盛んに研究が進められている。 本研究ではマイクロガラスチューブを加工したマイクロピペットプローブを用い、様々な化学薬品溶液をマイクロピペット内に含むことで試料表面の任意な局所位置での薬品滴下及び注入等を可能にする新しいナノスケールでのケミカル反応可能なプローブ顕微鏡システムの開発を行う。 平成15年度は14年度に作製したシステムをベースにマイクロピペットプローブからの物質滴下によるナノスケール構造物製作の基礎実験を行い、局所エッチング等のナノスケール加工に成功した.ポリマー表面(ポリカーボネイト)などの表面において有機溶媒であるジオキサンをピペットに注入し,表面任意位置においてナノスケールでのドット加工及びライン加工が可能であることを実験的に確かめた.また金属イオン溶液をピペットプローブに注入し,局所めっきが可能であることを確認し,基礎的な実験を試みた.これらの加工システムは溶液を注入された状態のプローブにおいても加工表面を観察可能であり,充填試薬と表面との相互作用を利用した更なる新しい加工法や観察法に発展できると考えている.
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