本年度は、研究の最終年度でもあり、考案した力センサの一応用例として加速度センサについて検討した。すなわち、力センサの一端を固定、他端に質量を付加した加速度センサ構成の試作試料を用いて、その諸特性を測定して有限要素法による解析結果との比較を行った。金属製加速度センサにおける力センサの中央アーム中央の片面に圧電セラミックス小片を接着剤により接着して、その面外1次振動モードを外部発振器により電気的に励振させた。この状態で、加速度センサを水平位置からy軸回りに回転させ、その設定角度により質量部に作用する重力すなわち軸力が変化することに着目して、加速度の変化に対するセンサの共振周波数変化を測定した。また、振動試験器により印加加速度の変化に対する共振周波数変化についても同様となることを確認した。 その結果、印加加速度と共振周波数変化の関係は直線関係になること、圧電セラミックスの接着による影響までも考慮した解析結果とは良く一致対応することが確かめられた。試作試料の感度は単位重力加速度当たり1次、2次モード対して、それぞれ2800ppm、2150ppmであることが明らかになった。ただし、センサの感度は支持方法と密接に関係するので、加速度の検知方向における支持の影響だけは小さくし、それ以外の軸方向に対してはその影響を著しく大きくする工夫が必要となる。また、加速度センサのスプリアス振動について解析及び実験的検討を行ったところ、利用するセンサの共振周波数近傍には有害なスプリアス振動は存在しないことも明らかになった。これらの結果から、本構成は加速度センサとして十分利用可能であることが分かった。
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