研究概要 |
回転を伴う固体物質の衝撃・衝突挙動について主として以下の成果を得た. (1)高速回転を伴うアルミニウム円板の衝突挙動 ここでは,電動モーターで回転を運動を付与されたアルミニウム合金製円板をばね力によって加速し,固体壁に衝突する際の衝撃挙動について調査した.まず,この現象を実験的に調べるために円板の回転運動と衝突運動を発生させるための実験装置を作成した.次に,高速ビデオカメラを用いて円板の運動を画像解析することによって,円板の反発係数に及ぼす回転運動の影響を調べた.さらに固体壁に設置したアルミニウムブロックに貼付した二軸ひずみゲージによって円板衝突時の衝撃応力を測定し,衝撃力に与える回転運動の影響を調査し,先の反発係数との関係について詳しく調査した.また,AUTODYN-2Dを用いた数値シミュレーションを行い,実験との比較検討をした.ただし,円板の衝突面で塑性変形が生じるまでの速度域での実験を主体とし,円板自体の破壊を生じる高速領域までの解析には至っていない.この研究により,固体衝突において反発係数が衝突速度および回転速度に強く依存することを明らかにした.この結果は,下記の粒子集合体の衝撃現象における反発係数の推定に寄与できる. (2)粒子集合体の衝撃現象の解析 ここでは,容器内に2次元的および3次元的に配列されたナイロン製球状粒子の集合体に,鋼球を衝突させた場合の粒子運動を高速ビデオカメラで撮影し画像解析を行った.また,離散要素法(DEM)を用いて数値シミュレーションを行い,実験との詳細な比較検討を行った.特に,DEMでは,粒子間の接触力,反発係数,偏心衝突による回転運動を評価することが重要な課題であるが,多数個からなる微小粒子集合体について,実験的に検証することは困難であるために,(1)で行った実験・解析の結果が今後役に立つと考えられる.
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