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2003 年度 実績報告書

転位動力学法に基づく疲労き裂の発生・進展シミュレーション

研究課題

研究課題/領域番号 14550077
研究機関京都工芸繊維大学

研究代表者

森田 辰郎  京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (90239658)

キーワード疲労 / 転位 / シミュレーション / き裂発生 / き裂進展 / 弾性相互作用 / 応力拡大係数 / 入り込み・突き出し
研究概要

疲労き裂発生に関するシミュレーション
疲労き裂の発生に関する基礎的な知見を得るため,表面近傍におけるすべり面上での刃状転位群の挙動を転位動力学法を用いて調べた.具体的には,まず表面近傍の刃状転位に作用する応力を厳密に記述する基礎式を鏡像転位の概念を用いて導出した後,この基礎式に基づいてすべり面における転位群の挙動を模擬し,繰返し応力下で表面にすべり段あるいはき裂が形成される様子を調べた.繰返し応力の作用下における1すべり面上の刃状転位群の挙動を調べたところ,すべり段の形成方向は疲労繰返し0.5サイクルごとに反転するため,すべり段は成長しなかった.しかしながら,ランダムに配置した不動転位の存在下では,すべり面上を移動する刃状転位の挙動が乱され,その結果としてすべり段は一方向に成長することが明らかとなった.さらに,ランダムに配置した不動転位の存在下で平行なすべり面を10個考慮したモデルを用いてシミュレーションを行った結果,各すべり面におけるすべり段の成長にともない疲労き裂が発生していく様子が確認された.
疲労き裂進展に関するシミュレーション
作用応力拡大係数の変動を正弦関数で記述するとともに,き裂から放出された転位の一部が除荷時に再度き裂へ吸収されて消滅する点を考慮できるようモデルを修正し,これを用いて疲労き裂進展挙動に関する転位動力学シミュレーションを行った.その結果,初期応力拡大係数範囲と下限界応力拡大係数範囲の間に累乗で表される関係が認められた.また,シミュレーションを通じて得られた応力比と下限界応力拡大係数範囲の関係はWalkerの関係式を用いて整理された.これら2つの関係は,従来報告されている実験結果と定性的に一致したことから,シミュレーション方法は妥当であると考えられた.また有効応力拡大係数範囲を用いてシミュレーション結果を整理した結果,有効応力拡大係数範囲とき裂進展速度は明瞭な1本の直線で関係付けられた.以上の事柄は,初期応力拡大係数範囲および応力比が残留転位数やその配列に影響を及ぼす結果として転位放出の下限界であるき裂開口応力拡大係数を支配するという観点から説明された.以上より,疲労き裂の進展挙動は,従来知られている種々の要因以外に,残留転位群の遮蔽効果に起因するき裂閉口という力学的要因にも支配されることが推察された.

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 森田辰郎, 齋藤憲司: "転位動力学シミュレーションによる疲労き裂進展挙動の検討"材料. 52-11. 1285-1291 (2003)

  • [文献書誌] 森田辰郎, 辻 寛治: "疲労き裂の発生に関する転位動力学シミュレーション"材料. (掲載決定). (2004)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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