研究概要 |
ポリ乳酸樹脂の高強度繊維で編物によるポーラスな構造体を作成し,これに延性に優れたポリカプロラクトン樹脂のソルベントをコーティングすることにより,繊維交差部が完全に接着されており,高い剛性と空孔率を合わせ持った複合材料を開発した.これをスカフォールドに用いることで,肉芽など他組織侵入のためのメンブレムを付加できる.スカフォールドへの幹細胞や成長促進剤の播種が容易である.また臨床時に切断や成形が出来る.等の多くの機能を備えることから,「生分解性樹脂複合材料による高機能なスカフォールド」として特許を申請した(特願2004-82682).現在のところin-vitroでマウスの骨芽細胞や人の幹細胞による接着と成長が観察されており,生分解性速度も適当であるなどの有用性が確認されている.この特許を基にして研究の一部は科学技術振興機構(JST)の重点地域研究開発推進事業「科学技術振興機構研究成果活用プラザ京都における平成16年度事業化のための育成研究課題」(研究代表者,京都大学大学院工学研究科 教授 北條 正樹)として採択され平成16年より3ヵ年間,京都大学や先端医療センターと共に実用化に向けた共同研究が行われることとなった.この中ではin-vitroの実験だけでなく,動物実験や医師主導の治験が行われる予定である.
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