研究概要 |
異方性導電フイルム(ACF:Anisotropic Conductive adhesive Film)あるいは異方性導電樹脂を用いた,Flip ChipやCSP(Chip Size Package)などの電子デバイスの接合法はコストの安さ,小型化の容易さ,低温プロセスなどの利点があり,かつ鉛を使用しない環境負荷の小さな材料であるため,はんだ材料に代わる電子デバイスの接合方法として有望視されている.しかし,この異方性導電樹脂による実装方法が信頼性の高い接合方法として普及するためには,はんだ材料のような信頼性評価技術の確立が必要である. 異方性導電樹脂を用いたフリップチップは,他の電子デバイスと共用されることが多い.これらのデバイスをはんだを用いて基板に実装する時には,あらかじめ接続箇所に定量のはんだを供給しておき,外部から240℃〜245℃に過熱して再溶融させるはんだリフローという工程を経る.このはんだリフロー処理を行う際に,異方性導電樹脂を用いた接合部の導通が取れなくなるといった不良が発生することがある. 本研究では,異方性導電樹脂を用いたフリップチップの吸湿リフロー時に発生するフリップチップ内部のはく離の評価手法を提案している.そのために,異方性導電樹脂や基板の吸湿特性を測定し,これを用いて吸湿解析を行い,はんだリフロープロセス中に発生する水蒸気圧の予測を行った.また,予測した水蒸気圧によるフリップチップ内部の応力拡大係数の評価を行い,異方性導電樹脂とフリップチップの構成材料間の接合強度の評価結果と比較・検討して,フリップチップ内部の異方性導電樹脂接合部でのはく離の発生を予測した.また,実際に模擬フリップチップの吸湿リフロー試験を行い,はく離予測結果の検証を行った.
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