研究概要 |
微小試験片の製作技術として表面マイクロマシニングの適用を試みた.シリコン異方性エッチングによるバルクマイクロマシニングと組み合わせ,フォトリソグラフィにより微小試験片を試作した.犠牲層エッチング,リフトオフ等の必要な技術を習得し,薄膜型微小試験片製作プロセスの検討を行った.き裂を側面から観察するため,研磨等による鏡面仕上げ方法を確立した.微小材料疲労試験機に用いるアクチュエータの制御系の最適化を行うとともに試験機の主要部である負荷装置,試験片装着部の設計・試作を行った.試験片の微小変位,微小荷重等の計測系を構築した. 単結晶シリコンウェハに対し異方性エッチングを利用してV溝切欠きの導入を行った微小試験片およびその強度評価に関して,次のような結果を得た.試験片のSEM観察により(111)結晶面が露出すること,切欠き底半径はサブミクロンオーダの鋭さを持っていることが確認できた.静的強度に関して,切欠きをき裂と見なすことにより破壊じん性により評価することが可能であることを示した.ただし,切欠深さが小さい場合,破壊じん性による推定は適用できず,実際の静的強度は増加する傾向がある.言い換えれば,見かけの破壊じん性値が上昇することになる. 疲労試験を実施し,鏡面仕上げした試験片側面から切り欠き底近傍の変化を観察した.今回の試験条件では単結晶シリコンに疲労現象は認められない. 単結晶シリコンの製造方法が機械的性質に及ぼす影響について検討した.CZ法とFZ法によりそれぞれ成長させた単結晶シリコンの比較において,曲げ試験による破壊荷重はFZシリコンの方が高いこと,また,IF法による破壊じん性値はCZシリコンの方がわずかに高いことを明らかにした.
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