本研究では、先端加工プロセスによって形成されるサブナノメートルオーダの表面微細形状において顕著になる表面形状のマルチスケール特性の変化を測定・評価することを目的としている。 HD表面や磁気ディスクヘッドなどの超精密加工表面を対象に、その表面微細形状の波長-振幅特性が1/fから徐々にそれ、白色に近づくことを、マルチスケール特性の変化として実験的に測定・評価し、これら表面の機能解析や、超精密加工表面の基本的構造解析に寄与することを意図している。 実際に、HD基板表面の超平滑面を走査型白色干渉顕微鏡で測定し、そのデータのフラクタル解析から、超平滑面の表面構造の変化を明らかにした。 サブナノメートルオーダのRa値を有するような領域にいたる超精密加工表面における表面形状成分の特性解明において、超精密加工表面を信頼性高く測定する手段として、走査型白色干渉顕微鏡による表面形状測定を、広範囲のスペクトルにわたって行うため、測定視野を変えた複数の測定条件で表面形状データを取得し、そのパワースペクトル密度分布を解析することにより、超精密加工表面の表面構造の特徴を解析した。 その結果、サブナノメートルRa値を有する表面において、そのパワースペクトル密度分布の傾斜は、Ra値の減少に伴い徐々に緩やかなものとなり、Fractal解析においては、その次元が計算上2を越えるような領域のものまで出現した。これは、Fractal領域を超えて、白色領域に近づく傾向を示すものとして注目に値する結果である。 本研究の結果から、振幅が2〜3nm(PV値)の加工表面は、一般の機械加工表面に比べ、かなりスペクトル分布が白色化することが確認できた。
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