母材の表面処理の工夫、希元素金属の添加、メタン濃度の低濃度化を実施しながら、マイクロ波プラズマ気相合成によりダイヤモンド膜を合成した。基板としては、ダイヤモンド成長時の表面形状、結晶粒界の評価にはシリコン単結晶を、曲げ強さ、摩擦摩耗特性の評価には超硬合金をそれぞれ用いた。それらに対して、ダイヤモンドペーストによる研磨加工、炭素イオン照射による表面仕上げを行ない、仕上げ面の状態と核生成状態とには密接な関係があり、核生成密度を多くするには1μm程度のダイヤモンドペーストになり仕上げを施すことが良いことなどを明らかにした。 さらに基板面に白金、イリジウム等の希元素金属でスパッタ処理をすることで、ダイヤモンドの核生成状態にどのような影響があるかを検討し、結晶成長方位の揃う核が生成することなどを明らかにした。 ダイヤモンドの合成に用いるメタンと水素の混合ガスについては、合成初期ではメタン濃度を0.01%の低濃度とし、時間の経過とともにメタン濃度を高めていく方法をとるとダイヤモンドの結晶組織が緻密に制御できることを明らかにした。合成されたダイヤモンド膜については、合成条件による表面形状、結晶組織の違いを明らかにし、このときのダイヤモンド膜の曲げ強さ、剥離強度および摩擦摩耗特性を評価し、いずれもが合成条件により著しく異なることを明らかにした。そして、ダイヤモンド膜の使用される用途に応じて合成条件を選定する必要のあることを指摘した。
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