研究概要 |
本研究は,アプリケーション間で製品情報を正確に伝えることを目的に,製品モデル表現の国際規格STEPのしくみに基づいて,異なるアプリケーションのモデル間の対応関係を規定する作業を支援する手法としくみを提案し,それを実現するツールを開発することを目指した.研究計画では,(A)翻案作業を支援するしくみの開発,(B)異なる製品モデルの間の対応付けの支援,(C)情報要件を実現する制約の記述の支援,(D)翻案結果を検証するためのインスタンス処理手法の開発,を項目にあげた. これに対し次の成果を得た. 1.STEPの概念と技術を用いて,異なるモデル間の対応関係をグラフィカルな操作で入力し,各種の形式で出力する対応付け支援ツールを開発した. 2.製品モデルの対応付けについて考察を加え,対応付けを支援する手法を提案した. 3.EXPRESS-GとUMLクラス図の比較を行い,UMLクラス図をグラフィカルに編集するツールを開発した. 4.基数関係の対応付けを支援するために,参照経路にそった基数を表示する機能を作成し,製品モデルの基数関係の照合を可能にした. 5.構造的対応付けで,参照経路の分岐や制約がない場合については,ツールで得られた対応付け情報からモデル変換仕様記述言語EXPRESS-Xのコードを生成することが実現できた.生成したコードに対し,市販のEXPRESS-Xに基づく変換ツールでSTEP規格に基づくデータ変換を行い,手法の正しさを確認した. これにより異なるアプリケーション間でのデータの交換・共有を容易にすることができた.今後は,残された課題であるより進んだ制約記述の方法とインスタンスの処理についての研究・開発を進める.
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