研究概要 |
近年,使い勝手や移動の便利さから携帯可能な製品の需要が増加している.この製品を構成する部品は微細な形状精度が厳しいばかりでなく,短時間で最終製品を得ることも要求されており,能率化も必須条件である.また,このように製品の極小化を図るには微細加工における加工能率や加工精度の向上が大きなポイントとなることや加工機の高精度化,コンパクト化の検討も必要不可欠である。 本研究においては、ナノオーダの極微小切込みと高速切削を融合した基礎的加工技術の開発と難加工材料の高速・高精度ミーリング加工の確立をめざし、ナノオーダの極微小切込みと高速切削の要素を応答性の高いリニアモータテーブルと超高速回転小型スピンドル(32万回転)を用いて開発加工機に必要な基礎的特性を検証する。(1)工作機械は研究室レベルではあるが、窒化珪素系セラミックスフレーム(鉄系材料の1/2の軽量化)を用いた微小切込みと高速切削(1500m/min)を融合した小型加工機を開発した。サイズは□450mmx高さ400mmであり,テーブル送りにはリニアモーターを使用し,高能率化を実現した。(2)消費電力は従来型高速マシニングセンタの約1/20を可能とした。また、(3)この小型加工装置を用いて機械部品に多用されている鋼系(S45C)材料を対象とした高速微細加工を行った結果,工具溶着物が極めて少なくなることと1μm以下の極めて良好な仕上げ面粗さが得られることを明らかとした。また,加工変質層が極めて薄くなる(0.5μm以下)ことから小型部品の金型加工への適応性が可能であることを明らかとしている。(4)難加工材の一つであるスーパーエンジニアリングプラスチック材料の加工においては,刃立性と刃先形状が加工表面に残存するクラックに及ぼす影響を明らかにし,ダイヤモンドコーテッド工具の刃先を鋭利化することによりクラック抑制が可能になることを明らかとした。
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