研究概要 |
本研究では,高齢者が技能と経験を活かし,心身ともに健康で働ける生産システムはいかにあるべきかを検討し,生産システムの構築あるいは再編において,高齢者の技能や健康状態,人員構成など時々刻々の変化にすばやく柔軟に対応するための設計評価用デジタルヒューマンモデルの開発を目的として,3年間の計画で研究を開始した。初年度の結果は以下のとおりである。 1.高齢者の認知,行動,技能の各特性について国内外の現状調査を行った。 2.認知特性について,従来の視力検査では測れない瞬時視認視力や余裕視認視力といったものを定義し,これまでに開発した測定方法の精度を向上させた。また,聴覚について,音像の認識能力の測定方法を開発した。 3.行動特性について,新規に購入した設備「眼球運動システム」を用いて被験者の注視点を測定することによって,被験者の関心事を推定する手法を開発した。今後,高齢者と若年者の関心事や視線追従範囲並びに速度の違いなどを測定する予定である。 4.身体の重心移動限界および重心余裕移動限界といったものを定義し,それらの定量的測定方法について,その信頼性,実用性を検討した。 5.作業者が置かれた環境や与えられた作業あるいは対象物に応じて,自動的に動作生成するためのデジタルヒューマンモデルを開発した。
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