本研究は、極薄板である箔をシェルのような立体的な形状に成形する方法を提案することを目的としている。プロセスは、第1工程で箔から波形状の薄板構造体を作り、第2工程で折り畳んだ提灯を伸ばすようにして張出すという2段階加工である。 本年は、リソグラフィー加工によって波形板を作製し、さらにその波形板を引張試験した。 はじめに、リソグラフィー加工遂行に関しては、 1.光源は水銀キセノンランプ、レジスト塗布はスピンナ(回転数2500rpm)、乾燥炉として電気炉を用意した。2.レジスト、現像液、剥離液は市販のもの、エッチング液は市販の薬品を調合し自作した。3.マスクパターンはピッチ0.1mmの縞状としたが、パターン原図をパソコンで描き、ポジフィルムと縮小写真撮影によって自作した。4.レジストは露光時間は3分、現像時間5分の条件で、アルミ板上に縞状パターンが作製できた。 つぎに、厚さ20μmのアルミ箔に対して、目合わせしたマスクを用いて、両面からリソグラフィー加工したところ、エッチング液の温度35℃、エッチング時間40分で、板厚は半分まで減少し、波形板が作製できた。 最後に、この波形板を作製し引張試験した結果、わずかな伸びひずみ1.7%が得られた。しかし、この値はエッチングしないアルミ箔より伸びが劣る結果となった。この理由として、エッチング液によってアルミ箔が化学的に伸びの小さな材料に変化したことが考えられたが、詳細は今後の課題とされた。
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