研究概要 |
パラレルメカニズムの持つ優れた精度特性を活かしたロボット開発のために,本年度の研究では(1)高精度誤差測定法および測定装置の開発と(2)機構の誤差特性に基づく最適キャリブレーション条件の選定手法の開発を目的とした.まず,(1)高精度誤差測定法および測定装置の開発については,従来のキャリブレーション用誤差測定装置であるDBB装置とレーザ測長機にさらに1軸まわりの回転変位あるいは1軸方向の直進変位を測定できる機能を追加した構造を新たな測定装置の構造として考案するとともに,実際に使用するセンサ部品の精度,製作精度等を考慮してこれらの構造を有する測定装置を用いた場合のキャリブレーションのシミュレーションを行って,比較検討を行った.また,そのうちの一形式の測定機については試作を行い,その基本的な特性について実験的検討を加えた.一方,(2)機構の誤差特性に基づく最適キャリブレーション条件の選定に関しては,DBB装置を測定機として用いた場合について選定のための評価指標およびアルゴリズムを提案し,測定誤差および測定運動の数を種々に変えた場合について数多くのシミュレーションを行って検討を加えるとともに,これを実機に適用して実験的検討を行った.その結果,提案した指標およびアルゴリズムを用いることにより,少ない測定運動で試行錯誤的な計算を行わずに確実に機構パラメータのキャリブレーションが実行できた.さらに,提案手法により,200mmの変位ストロークを各軸方向に有する6自由度空間パラレルロボットにおいて±15.m程度の絶対位置決め精度が実現できた.
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