研究概要 |
静電フィルタのフィルタ本体部の実機モデルを試作して,性能を評価した.フィルタ本体部の外形は円筒形状であり,径の異なるステンレス製円筒やパンチングメタルが同心円状に数個配置された構造となっている,円筒の外周部は交流電界を作用させる領域であり,中央部には直流電界を印加するコレクタ部が配置されている,交流電界を作用させる凝集促進部の流れが軸方向のもの(タイプ1)と局方向のもの(タィプ2)を製作した.二つの構造形式では,凝集促進部における速度勾配の大きさとコレクタ部への流入形態が異なる.なお,コレクタと直流電極の表面はステンレスメッシュで被覆した. 以上のようなフィルタ本体部を用いて,流速,油の温度,油の種類などを変えてフィルタ性能を評価した,ろ過実験には市販の作動油5種類にJIS試験用粉体I,11種(関東ローム,中位径の範囲1.6〜2.3μm)を添加したもの(模擬汚染油)と,汚染物が混入している使用済み潤滑油3種類を用いた,本実験により,ろ過性能はタイプ1よりタイプ2が優れていることが明らかとなった.ろ過性能は油の種類により著しく異なり,液体の種類によらず比較的短時間でろ過処理を終了できるようにするためには,凝集促進部やコレクタ部の形状などに更なる改良を加える必要があることもわかった.コレクタ前後の圧力差を計測し,目詰まり状況を評価したが,汚染物が付着しても圧損はほとんど増加せず,提案している構造形式では目詰まりが生じにくいことが確認できた,しかしながら,汚染物がコレクタや電極に付着することでろ過性能は徐々に低下した. これらの実験と平行して,サブミクロン粒子の凝集に関する基礎研究を実施しているが,本年度は実験結果を得るところまでは至らなかった.
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