研究概要 |
開発したGlobal Local有限要素法(GLFEM)ソルバーのデバッグ作業の一環として,簡単な長方形ばりの問題を解析していたところ,用いている解析解の性質が色濃く出た結果となっており,それと重ね合わせた有限要素解の性質がほとんど表れていないものとなっていた.そこで,GLFEMの定式化から根本的に検討しなおした結果,重大な誤りが見つかった.すなわち,重ね合わせる解析解として,取扱いの容易なKelvinの解を用いた場合は明らかであるが,Boussinesqの解を用いた場合であっても自由表面における応力フリーの条件が満足されないことが分かった.そこで,現在,これに対処するため,解析解と有限要素解を重ね合わせるGlobal Local領域を独立した複数個の領域に取る定式化を行っている.この定式化により,信頼できるGLFEMソルバーが完成できるものと期待している. このように,GLFEMソルバーに問題があったため,一般的なFEMソルバーを用いた円筒歯車設計システムを開発し,基本機能に関しては開発を終了した.その成果については,日本機械学会第4回機素潤滑設計部門講演会において発表予定である. 一方,開発しているGLFEMソルバーの信頼性確認のための円筒歯車の静的な歯面接触圧力測定実験については,昨年度,感圧シートによる測定に目処がついたので,本年度は,一部先送りしていた組み付け誤差を与える機構を完成させ,自由に種々の組み付け誤差を与えることができるようになった.残念ながら,今年度はその測定結果をまとめるまでの時間はなかったが,来年度には,当初予定していた実験を遂行するための準備が整った. 以上のように,本研究の最終年度に当たる来年度には,ソルバー開発およびその信頼性確認実験ともに,研究開始当初に期待した成果が挙げられるものと考えている.
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