研究概要 |
(1)シール性能の観点から見たボルト軸力のばらつきとガスケット座面面圧の関係 一般に,管フランジ締結体のボルトの締め付け作業はトルク法によって実施される.トルク法は簡便であるが,接触面の摩擦係数のばらつきの影響によってある程度軸力がばらつくことは避けられない.ここでは,トルク法において生じる程度の軸力のばらつきを考慮してボルトを締め付けた場合について,ボルトを逐次締め付けた場合に発生する「弾性相互作用」によるボルト軸力変化を考慮した解析を実施し,以下の結論を得た. 1)トルク法に起因するボルト軸力のばらつきはガスケット座面の不均一な面圧分布の原因となるが、その程度はボルトの逐次締め付けにより発生するばらつきよりもはるかに小さい.したがって、トルク法を使用することにより引き起こされる軸力のばらつきはシール性能の観点からはほとんど問題にならない. 2)管フランジのボルト締め付けを数パス実施する場合,各パスにおけるすべてのボルトの平均軸力は,トルク法に起因する軸力のばらつきの影響をほとんど受けない. (2)数値解析を基本としたシール性能の評価方法の確立 管フランジのシール性能をASMEのPVRCの考え方(ガスケットの単位長さ,単位時間あたりの漏れ量)に基づいて,漏洩実験を実施し,その場合のガスケット面圧を数値解析により求めた結果,つぎの結論を得た.すなわち,ガスケットの厚さと幅を種々変化させた場合,内部流体の圧力をパラメータとして,漏れ量と数値解析から求めたガスケット外縁部に発生する最大圧縮応力は,片対数グラフでほぼ直線関係となる.したがって,ガスケットからの漏れ量はガスケット外縁部の最大圧縮応力で推定することが可能である. 以上の3年間にわたる研究の成果の一部は,2004年度に日本高圧力技術協会から<フランジ継手締付け指針ZlO3TR-2004>として公表されている.
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