研究概要 |
本研究の目的は、(1)真実接触面積を実時間で観察できる、荷重負荷装置を備える接触面顕微鏡を製作し、(2)この真実接触面積の測定および既存の密封特性実験装置を使って、接触機構を解明し、(3)密封に必要な臨界押付け力を予測し、密封面の最適形状と表面性状を提言することである。 平成15年度の研究は、研究目的(1)を達成するため、初年度に製作した光学装置に、画像解析によるピンぼけしない接触面測定装置を付加して,真実接触面積の測定精度を検査することである。 別紙(研究実績報告目録:様式7)に記載する備品および部品を購入して、真実接触面を実時間で観察できる接触面顕微鏡を製作した。得られた結果は、事前に行った基礎研究結果(11.研究発表論文参照)と同程度の精度が得られた。 接触面測定装置の構成および真実接触面積の測定精度検査は次のようである。 (a)接触面測定装置は、硬質ガラス直角プリズムと試料間に現れる真実接触部を照射する光源部、接触部画像を取りこむCCDカメラ、取りこんだ画像を処理して接触面積を計算するソフトウェアから構成される。接触面画像はZ軸と51°傾斜している。そのため本機では、試料台をX、Y、Z、軸に微少移動させることにより、接触面全体像を焦点距離が合った数十枚の顕微鏡画像に分割して計算機に取りこみ、1枚のピンぼけしない合成接触面画像を得る。 (b)測定精度は、鋼球を硬質ガラス直角プリズムに押し付ける際に生じる、弾性変形による測定接触半径とヘルツ接触圧から計算した接触半径とを比較して検査する。なお、平成15年度当初計画した、走査電子顕微鏡像および表面粗さ測定機による断面曲線との比較による精度検査は、ヘルツ接触圧から求まる接触面積との比較だけで十分であることが分かり、実施しなかった。直径5mmの鋼球を硬質ガラス直角プリズムに押し付けることにより、真実接触面半径の精度を検査した結果、光源にランダム偏光を用いた場合、押付け荷重10〜200Nの範囲で誤差約20%の精度で測定が可能であることが分かった。また、光源に楕円偏光を用いると精度向上が可能であることも確認された。 以上、得られた結果を列記する。 (1)焦点距離が異なる接触面画像を数十枚の顕微鏡画像に分割して、さらにそれらを合成することにより、1枚のピンぼけしない合成接触面画像を得る接触面顕微鏡を作成した。 (2)直径5mmの鋼球を使い真実接触面積の精度検査を行った結果、光源にランダム偏光を用いた場合、押付け荷重10〜200Nの範囲で誤差約20%の精度で測定が可能である。
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